2013年10月1日火曜日

【講義】情報社会特論C 社会とメディアとの関わり (初回)

本日の授業は情報社会特論C

この講義の内容は以下引用。
歴史的経緯を踏まえれば、一般的なメディアは戦争の道具の一部として始まったと言われているが、その後マスメディアは発展して我々の生活に密接に関わってきました。しかし旧来型のマスメディアは役割りを終えようとしており、今後は多様化することが想定されます。そのような社会背景を鑑みると、これまでの受動的なメディアではなく、特性を把握した上で適切なメディアを選択して利用する、または状況に応じてカスタマイズしたり、更には自分で作る、ということが必要となります。そのため本講義では、GoogleやYouTubeなどのウェブにおけるサービスから、デジタルサイネージや東京ガールズコレクションなどの商品の広告、販売、物流に至る幅広い事例について、調査・分析を行います。更に、これらの事例分析から新たな提案を行い、今後のあるべきメディアの未来像を探求することを目的としています。  http://www.iamas.ac.jp/classes/158

初回の授業では社会とメディアの関わりについての内容となった。
まずは大きく2つの視点から。

①既存のメディア(マス)に対する歴史的変遷

②インターネットによるメディアの立場の変更


まずは既存のメディア(マス)に対する歴史的変遷

印刷メディア=グーテンベルクの印刷機、もしくは文字誕生時(絵画も)
┗約600年前 ルターの宗教改革 聖書の初版は先進国に2冊ぐらいしかない。日本では慶応。(1冊何億円とするとの)

・電波メディア=ラジオは同一情報の音メディアを多数に届ける。
┗国産第一号鉱石ラジオ



映像メディア=テレビは言語だけでなく映像によるリアルタイムの情報共有。
┗シャープが1952年17K-531を販売。



メディアについて書かれた古典の紹介。

メディア論―人間の拡張の諸相

メディア論―人間の拡張の諸相

メディア自体がメッセージである。メディアの内容をメディアのメッセージと取り違えない。新しいメディアの登場は、人間の感覚比率の変更を通じて、古い価値観そのものを無効化する。それゆえ人は最初、新しいメディアのメッセージを読み間違えがちといった内容である。


メディアや情報系に関わる人は読んでおいて損はないとのこと、だが非常に高いので図書館利用かな。

■メディアの黒歴史について

メディアを利用した洗脳(プロパガンダ)の例
  • ロシア革命
  • ナチスヒットラー
  • 日本の大本営発表
  • 湾岸戦争

プロパガンダの定義について
  • われわれは戦争をしたくはない。
  • しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。
  • 敵の指導者は悪魔のような人間だ。
  • われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命(大義)のために戦う。
  • そしてこの大義は神聖(崇高)なものである。
  • われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる。
  • 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている。
  • われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
  • 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している。
  • この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。
湾岸戦争(1990年〜1991年)

・カメラレンズの前にあることは大写しされ、背後にある重要性は縮小されてしまい、非常に限られた内容しか伝えられない。

・ハイテク兵器による華麗な戦争を行っているかのように国民に見せたが、実際はミサイル攻撃はアメリカ空軍がイラクとクウェートに投下された爆弾。

・以下の写真はクウェートが湖をオイルまみれにしているという情報操作のために作られた捏造写真。



■日本のテキストメディア
・瓦版から新聞へ(江戸から明治)
┣横浜毎日新聞が初めての新聞
┗読売新聞夕刊 1941年12月9日に太平洋戦争に書かれた記事が掲載される。


・日清・日露戦争で新聞が大躍進
・白虹事件で政府による言論弾圧(以後従う)
・戦後GHQによるメディア統治(テレビによる国民支配)

■日本のマスメディアの欠陥
・記者クラブは政府・警察となれあい関係
・スポンサーに内容が左右される

■インターネットによるマスメディア崩壊
・小泉首相によるメディア利用
・大手広告代理店によるステマ
・政治不信/官僚不信とマスメディアの癒着

情報格差=世代格差
いかに多角的に情報を得るかで、密度や正確さが変わってくる。

■社会における心理について
レガシーフリーにして、まず社会を考えてみよう
⇒ミクロの視点でみてみると…

Mシェリフの実験(1935)
・一人ひとりに答えてもうら場合は一人ひとりの意見は個人差がある
・複数人の場合、意見が徐々に集約されていく
・他人の意見を聞いて自分の意見が変わるという、自分の行動が他所に影響をおよぼす

⇒肝心なのはその集約される意見というのが優れたものであるかどうか?


キティ・ジェノヴィーズ事件
・1964年3月13日 NY キティさんが団地を歩いているとオトコに刺されたが助けを求める。
・目撃者は31人にも及ぶが、それぞれがお互いがみていることを確認していたため、連絡することはなかった。
・集団的意識の責任放棄

囚人のジレンマ
・共同で犯罪を犯した2人が捕まった。
・黙秘すれば懲役2年、共犯者が黙秘して自分が自白したら釈放で共犯者が懲役10年、2人とも自白したらそれぞれ懲役5年。
・協力すれば互いに得をし、それができないと不幸が増すが、全体を考えることができるか?

サクラ(アッシュの実験、1955)
・線分の長さを比較させて順次回答させる課題
・サクラが誤答するとサクラに影響される
・他に正解者がいると誤答率が激減する。
サクラがいることによってそちらにひっぱられる傾向が見られる。

社会とは個人の単なる集まりではない。
・キティ事件=個人と社会の関係
・シェリフ=知覚心理学から社会学
・囚人のジレンマ=心理学から経済学、社会学
・サクラ=他社に影響(メディア)

■社会学とは

・人々がどのような社会生活を営んでいるか
・そこにはどのような規則性があるのか

社会を見る視点は多様であれ(もの作りでも芸術でも工学でも要求されること)

■社会学からみるメディアの影響

・1920年代:リップマン「マスメディア強力効果節」

   (頑固そうな顔立ち…)

マスメディアは人々に対して直接的に強い影響をあたえている。
擬似環境に反応する際、人々はステレオタイプを用いやすい。ステレオタイプによってメディアも熟成される。

・2段階の流れ仮説(ラザーズフェルド)

マスメディアは直接的に人々に作用するのではなく、コミュニケーションに対して積極的な一部のオピニオンリーダーを媒体とした間接的に影響をあたえる。マスメディアは人々にごく限定的影響しか与えていない。

■インターネットメディアの変換
・1994年第一次インターネットブーム(Windows95)
・1999年第二次インターネットブーム接的に影響をあたえる。(ISDNから光ファイバー)
・2005年ブログブームやmixiなどのsnsの普及
・Googleの躍進、Facebook、Twitter


アーキテクチャの生態系マップ



具体例として、著者は飲酒運転の問題をあげているが、ここでは、もっとわかりやすい例として、「喫煙防止」の問題をあげておきたい。喫煙は体に悪いし、他人に迷惑をかけるのでやめましょう、というのが「規範」。喫煙を法律的に規制するのが「法律」、たばこ代を大幅に値上げするのが、「市場」、そして、「喫煙できる場所」を強制的に限定してしまうのが「アーキテクチャ」だといえる。アーキテクチャは、どちらかというと、「技術的な方策」といえるかもしれない。 


■インターネットで何が変わったか
「モノからコトへ」ではうまくいかない。
「モノをコト化する」あるいは「コトをモノ化する」ことによって
新たな価値やサービスを作り出しはじめた。
⇒SONYの失敗/ジョブズの成功

■Googleは何をしているのか
6週間以内に新しいソフトやサービスを具現化し、社内で評価実験し、その後ユーザーに公開し、その評判からプロジェクトの存続を決める。

■Googleの10の黄金律
1.採用は委員会方式で行う
少なくとも6人以上の管理者や将来の同僚が面接する。時間はかかるが素晴らしい人材を採用できる

2.社員のニーズにこたえる
仕事の邪魔になるものはすべて除去する。福利厚生施設の充実。ジム・マッサージルーム。

3.社員間の距離を縮める
ほとんどの仕事をチームで行い、コミュニケーションを重視する。チームメンバーの席は近くに置く。個室はつくらない。

4、情報交換の円滑化
席が近いために仕事の調整は容易である。加えて週間報告をメールで行い、仕事の進捗状況の把握を用意にする。

5.自社製品を自分でも使え
自社開発のツールを多様する。Gmailの成功は数ヶ月におよぶ社内利用のおかげだった。

6.創造力を奮い立たす
業務時間の20%は好きなことに使う。会社ベースの提案箱として駐車場利用規則から商品開発にいたるアイデア交換のための
メーリングリストを持もつ。

7.コンセンサスに至るよう努力せよ
「多数は少数よりも賢い」を基本的な考え方とする。何ごとについても決定前に意見を集める。マネージャーの役割は意見を集めることである。時間をかえて検討し、チームとしての結束を深め、優れた決定をもたらす。三人寄れば文殊の知恵

8.邪悪になるな
グーグルのモットーについてはいろいろいわれているが、われわれは誠心誠意本気である。マネージャーとなれば、とくにそうである。

9.事実で判断せよ(データ・プロトタイプを重視する)
決定は分析にもとづいて行う。内外の情報を集め、最先端に位置することを目指す。事業の状況はオンラインで把握する。

10.コミュニケーションに万全を期す
金曜午後に全員集合、発表、紹介、質疑を行う。全員が考えていることを知り合う。
■コト化、モノ化
・Apple:Apple computer incかららAppleへ
・ホンダ:自動車企業から「モビリティ」へ
・キャノン:カメラから「バイオ医療」へ
・スターバックス:コーヒーから経験へ
スタバの内装は秘密裏に行われていた、
芸術家、建築家、デザイナーがそれぞれ作り上げ、
サービスと経験をデザインした。コーヒーの専門家はいない。

■メディアの持つ側面
・社会における位置づけ(肯定的な見方と否定的な見方、あるいはConcept)
・技術的なメディアの特性
・ハードウェアとの関係(iPhoneなど)
・ユーザーの特性

情報社会、特にメディアについて私達はこれから何を考えていくべきか?
次回の講義では具体的なメディアについて調査、独自での展開を検討するそうだが、ひとまずブログでは以前に観たNHKでの太平洋戦争とメディアの特集について書く。




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